THANK YOU FOR JOINING US!開催レポート

渋谷ジェンダー映画祭
初開催!

2月3日(金)~5日(日)の3日間、初となる渋谷ジェンダー映画祭を開催し、延べ200名近くの方にご参加いただきました。今回は「若者」をキーワードに5作品を上映。ネット上での性暴力、貧困と暴力の連鎖、若年層の妊娠・中絶、孤立しない子育てなど、ジェンダーに起因する生きづらさや現在の若者が直面している問題をジェンダーの視点から考えました。

対話のある映画祭
ー 対話がつなぐ映画の世界と現実の日々

この映画祭は、ただ映画を観るだけではない”対話の映画祭“です。各映画上映後、多彩なゲストの方々をお迎えし、ファシリテーターのアーヤ藍さん、伯野朋絵さんの案内とともに映画のテーマについてさらに深く掘り下げました。また参加者同士で対話をする時間も設け、映画の世界と私たちの日常とをつないでいきました。

「息子のままで、女子になる」の上映では、映画を観ながらインタラクションツール(*)を用い、感想や質問を入力していただき、会場で一緒に鑑賞していた杉岡太樹監督と主演のサリー楓さんにオンタイムで返信していただくという上映スタイルにも挑戦しました。これはおそらく世界初!人の声は聞こえないけれど、おしゃべりが飛び交うにぎやかな上映会となりました。

TALK PROGRAM参加者の皆さんの感想とともに振り返ります。

SNS 少女たちの10日間

ゲスト:金尻カズナ氏(NPO法人ぱっぷす理事長) 東本愛香氏(公認心理士) 長谷部健氏(渋谷区長)
日本におけるSNSを通じた若者に対する性犯罪やデジタル性暴力の現状や、オンラインを使って子どもや若者にアプローチする性加害者の心理的傾向など、性加害者側、被害者側の視点からこの問題を考えました。

~感想~

児童虐待の原因や防止するための環境づくりについては関心をもって考えてきましたが、加害者側のプロセスを知ることの重要性は今までなかった観点となりとても学びとなりました。10代ももちろんですが、私たち大人も被害者や加害者となる可能性があることを実感しました。子供から大人の幅広い範囲で、それぞれの伝え方、学び方でそれらの可能性を知るきっかけ(教育、環境)が必要だと改めて強く思いました。

行き止まりの世界に生まれて

ゲスト:ダースレイダー氏(ラッパー) 佐藤慧氏(認定NPO法人Dialogue for People 代表)
社会から期待される“男性らしさ”の押し付けが生む暴力性や加害性、そしてその暴力の連鎖を断ち切るために何ができるのか、ゲストのお二人の青春時代も振り返りつつお話を伺いました。

~感想~

人間関係で悩んでいたところだったので、登場人物それぞれの人生の課題へのむきあい方に心動かされた。トークショーで久しぶりにまったくつながりのない人と話せて、なぜだか気持ちが楽になりました。

息子のままで、女子になる

ゲスト:杉岡太樹氏(ドキュメンタリー監督) サリー楓氏(建築家・ファッションモデル)
撮影から4年経ち、撮影当時を振り返って思うことや、ご自身も含め社会や周りの人の変化、また、英題の”You Decide“に込められた思いについてお話しいただきました。

~感想~

“一人の人生”を見せていただいたというのが大きかったです。前向きなだけでなく薬を飲むときの恐れや、「裏で人間として生きてきた」という言葉が痛くてとても印象に残っています。“You decide” 考えさせられました。私は”I decide”に寄り添える人間になるよう意識したいと思います。

17歳の瞳に映る世界

ゲスト:染矢明日香氏(NPO法人ピルコン) 龍円あいり氏(東京都議会)
日本の若者が直面している性の問題の現状や、スウェーデンの若者のサポート体制について、また東京都で新たに始まったユースクリニックの取り組みについて最新の情報を教えていただきました。

~感想~

映画では、若い女の子の中絶のリアルが描かれていると感じましたが、それをリアルだと思ってしまう現実に気づきハッとさせられました。性行為のパートナーが一切出てこない点がまさに女性のみに皺寄せがいっていることを表現していると感じました。トークショーではお二人の経験も交えながらの貴重なお話を聞くことができて良い機会となりました。ありがとうございました。

沈没家族

ゲスト:加納土氏(監督) 末岡真理子氏(恵比寿じもと食堂主宰)
地域の子育てという言葉が広がっている一方で、「やっぱり子育てはお母さんじゃないと」といった考えもまだまだ根強く存在しています。安全に家族を開き、緩やかに支えあうつながりを作っていくにはどうしたらいいのか考えました。

~感想~

とても面白かったです。友達の友達のような繋がりからの共同保育、そこから広がった「家族」穂子さんの破天荒でかっこいい人柄にも惹かれました。アフタートークも社会と子供と繋がりと、価値観を穏やかに解体するようで、作っていくようでとてもよかったです。

「息子のままで、女子になる」上映の様子
*「息子のままで、女子になる」上映の様子