THANK YOU FOR JOINING US!開催レポート

12月13日(金)~15日(日)の3日間、3回目となる渋谷ジェンダー映画祭を開催し、延べ286名の方にご参加いただきました。今回は「関わること、対話すること、聴(ゆる)すこと」をテーマに5作品を上映。映画を通じて、暴力が生まれない関りを、暴力の代わりになる対話を、そして聴しについて考えました。

TALK PROGRAM参加者の皆さんの感想とともに振り返ります。

パレードへようこそ

GUEST:マダム ボンジュール・ジャンジ、湯山玲子、鈴木茂義(ナビゲーター)
映画の途中で音声と映像がずれてしまうというハプニングが起こってしまいましたが、皆さんの優しいご理解とご協力があったおかげで、最後まで無事に上映することができました。トークセッションでは、理想を語るだけでなく「誰かを差別してしまう心は誰しも持っているもの。それを受け止めたうえで、ちがいを持つ人とどのように共に生きていくか?」といった本音のトークが展開されました。また自分のケアにも目を向けることの大切さを、マダム ボンジュール・ジャンジさんのハグ体操を通じて楽しく考えました。

~感想~

時代や社会が違っても今に通じる部分が沢山あって、色々と考えさせられました。異なる立場、知らない立場の人にまずはあって触れ合うことが大事ですね。様々な葛藤を乗り越えてつながることができるというメッセージが強く心に刺さりました。

カラーパープル

GUEST:柚木麻子、アーヤ藍(ナビゲーター)
徹底的な取材をすることで有名な柚木麻子さん。トークセッションではその鋭い観察力でアリス・ウォーカ―の小説、1985年にスティーヴン・スピルバーグが制作した映画と比較しながら、本作の魅力について深堀してくださいました。またこの映画の舞台設定となっている1900年と同じ頃の日本にも話は広がり、柚木さんの作品「らんたん」に描かれた日本の女性たちの物語についてもお話を伺うことができました。国や文化、社会背景や階級は違っていても、”自分たちの持つ権利が脅かされるかもしれない“という男性の恐怖から、教育の機会、発言することの自由を制限された女性達の闘いの共通点についてなど幅広いトークとなりました。

~感想~

同じ女性という立場から主人公のセリーや周りの女性たちに感情移入してしまう場面が多かったのですが、アフタートークで”セリーに暴力をふるっていたミスターも実は抑圧されていた立場だった”とのお話がありハッとさせられました。もう一回それぞれのキャラクターの立場から映画を観返したいと思います。

対峙

GUEST:伊藤冨士江、坂上香、ディアス実和子(ナビゲーター)
あまりの衝撃に、映画が終わったあと呆然としてしまった人が続出したこの映画。映画の余韻が残る中で始まったトークセッションでは、映画の中で描かれていた「修復的司法*1」や、日本で行われている「心情等伝達制度*2」について教えていただきました。また実際に修復的司法が行われているアメリカでの事例もお話いただき、対話が被害者だけでなく、加害者の更生やコミュニティの回復をどのように助けているかなどリアルなお話も伺うことができました。対話には人を動かす力がある一方で、決して全てを解決できる魔法の様なものではないこと、被害者が再び傷つくことがないように、慎重さや入念な準備が必要とされていること等、気づきと学びの多い時間となりました。

  1. 被害者側と加害者側、コミュニティの人が集い、対話を通して関係の修復を図る取り組み
  2. 希望する犯罪被害者等から被害に関する心情や状況、加害者の生活や行動に関する意見などを聴取した上で、受刑中、在院中の加害者に伝える制度。加害者に対しては被害の実情などを直視させ、反省や悔悟の情が深まるよう指導などが行われている。

~感想~

対話の大切さをしみじみ感じましたが、この対話を実現するのに6年もの時間が必要だったわけで、そう簡単にできるものでもないのですね。どちらの家族の気持ちもひしひしと伝わってきて、自分だったら?と考えると頭が痛くなりました。被害者家族、加害者家族への支援の必要性を感じました。

ザ・ホエール

GUEST:岸恵美子、ダースレイダー、高橋ケンジ(ナビゲーター)
主人公チャーリーの決断、選択は誠実さによるものか、はたまた自己中心的なものだったのか…観る人によって、感想が大きく分かれる映画だったということもあり、トークセッションでは映画の中で描かれた細かな描写の解釈で大いに盛り上がりました。その流れで出てきた、自己責任論や孤立・孤独の問題。近年チャーリーと同じように「助けて」ということができない人が増えてきていること、他者との関りを拒絶しているかに見える人にも、それぞれに物語があり、その声にじっくりと耳を傾けていくことの大切さを教えていただきました。「助けて」というには「助けて」と言った時に「助けてもらえた経験」が必要です。子どものころから誰かに頼ることが当たり前にできる環境を作っていくにはどうしたらいいのか考える機会となりました。

~感想~

自分の思いに誠実に生きるって何だろう?本当に人と向き合うってどうすればいいの?人を愛するってどういうこと?そんなことを改めて考えさせられる映画でした。主人公のチャーリーのように、人にはそれぞれ色んな状況があり、色々な思いを抱えています。「人に迷惑をかけてはいけない」といった文化がなくなると良いなと思いました。

ぼくたちの哲学教室

GUEST:永井玲衣、伊藤林太郎、五十嵐力馬、島田久仁彦、アーヤ藍(ナビゲーター)
日本各地で対話の場を開いておられる永井玲衣さんと渋谷区の子どもたちの学びに関わる方々をお招きして開催したトークセッション。渋谷区でも子どもたちが安心して意見を言ったり、対話したりできる場所を大人と子どもが一緒になって地域や学校の中に作っていけないかを考える時間となりました。トークの中では、「大人も子どもも、もっと話を聴く・聴かれる体験や場所が必要」「対話の相手は競争相手ではなく協働相手。論破ではなく対話する姿勢が大切」「問を立てることは一人でもできるけれど、分からなさは一人で抱えきれない。だから共に考える人が大切」などなど、心に留めておきたい言葉が沢山でてきました。

トークセッション終了後は希望者を募り、映画の中の子どもたちと同じように「やられたら、やりかえしてもいいの?」をテーマに哲学対話を行いました。この時間はアイリスで開催している『対話の街づくりコーディネーター講座』の受講生達が対話のファシリテーションを務めました。短い時間でしたが、話すこと、聴くこと、聴かれることに没入する時間を楽しむことができました。

~感想~

感情や考えは個々の生育環境や経験から生まれるもので、当然自分と周りは同じ考えではないということを忘れがちですが、子どものころから折にふれて教えることが大切だと改めて感じました。子ども、大人関係なく、問いを立て、思索することが人生を切り開くと信じています。

第2回
渋谷ジェンダー平等推進アワード

初日は昨年度に引き続き伝承ホールで開催し、上映前に「渋谷ジェンダー平等推進アワード」の表彰式を開催。今年度は聖心女子大学グローバル共生研究所と青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センターの「大学間連携を通したジェンダー平等・性の多様性理解促進」の取組が受賞しました。

今年度の新たな取組

今年度は新たな取組として映画祭開催中、渋谷福祉協議会と協働しフードドライブを開催しました。3日間で255品の食品と、シャンプーやマスクなどの日用品が30品集まりました。ご寄付いただいたものは地域福祉コーディネーターを通して、生活や食事にお困りの世帯へお届けしました。また13名の方がボランティアとして運営のサポートを行ってくださいました。ご協力くださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!

14日・15日は会場で渋谷区内の福祉作業所のふれんどさん、ストライドクラブさんが個性あふれる素敵な小物を販売してくださいました。また特定非営利活動法人JIM-NETさん、そして特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポンさんの活動紹介と物販も行いました。今回の売り上げはそれぞれの団体の活動を支える資金となります。皆様のご支援に心から感謝申し上げます。