THANK YOU FOR JOINING US!開催レポート

11月14日(金)~16日(日)の3日間、4回目となる渋谷ジェンダー映画祭を開催しました。今年は渋谷区パートナーシップ証明制度開始から10周年ということもあり、「SHIBUYA PRIDE これまでも、これからも、誰もが自分らしくいられる街」をテーマにLGBTQ関連の映画を5本上映。過去最多となる350名を超える方々と共に、誰もが自分らしく毎日を過ごせる渋谷区であり続けるために、私たちができることを考えました。参加者の皆さんから寄せられた感想と共に3日間を振り返ります。

10周年を祝う特別プログラムを開催

初日は10周年のお祝いも兼ねて、特別プログラムも開催!Pride Choir Tokyoの皆さんによるライブパフォーマンスでは、世界中を熱狂の渦に巻き込んだミュージカル、ウィキッドの名曲「Defying Gravity」(作詞・作曲:Steven Schwartz 編曲:Roger Emerson)と、ユニークな詞とキャッチ―なメロディーで愛されている合唱曲「ボクはウタ」(作詞:江村美紀 作曲:信長貴富)の2曲をご披露いただきました。

~感想~

大きなステージで晴れやかな笑顔で歌うメンバーの皆さんの姿に、「プライド」を感じ、心を打たれました。ちがいを超えた歌声が、10周年のお祝いにぴったりでした。

またLGBTQイラストレーター、moriuoさんのアート展ではパートナーシップ証明制度10周年を記念して製作された「明日」を展示しました。この作品は国籍・年齢・性別などに関係なく、性的マイノリティを含むさまざまなカップルを多様な愛の形として可視化し、祝福したイラストです。この作品は今後、渋谷区役所の3階(暮らしの手続きを行う住民戸籍課)に展示する予定です。

~感想~

どんなカップルも当たり前に幸せになれる、いろんなカップルが街の中にいるのが当たり前の風景になる、そんな「明日」が描かれているのが嬉しかった。

それぞれの経験を分かち合う「対話の時間」

映画を観るだけでなく、ゲストスピーカーや参加者の対話を通じて、「他人事」を「自分事」として考えることを目標に掲げる渋谷ジェンダー映画祭。昨年から、トークセッションの後に、参加者の皆さんで感想や思いを分かち合う「対話の時間」を始めました。今年度は『CLOSE クロース』『FLEE フリー』『リトル・ガール』の3作品で実施し、毎回大盛況となりました。
ファシリテーターを務めたのは、渋谷インクルーシブシティセンター〈アイリス〉で開催している「対話のまちづくりコーディネーター講座」の卒業生とアドバンスコース受講生の皆さん。講座で学んだことを活かし、安心・安全が感じられる温かな対話の場を作ってくださいました。

~感想~

色々な経験をしてきた人達と映画の感想を話すと、感想も、面白かったところも、感動したところも人それぞれ違っていて、それでいて共感できるところもあり、沢山の視点から映画を楽しむことができました。ひとりではできない体験で、時間がもっと欲しかったです。

他人事を自分事へ、つながるアクション

映画祭に参加された方から「社会のために、私にもできることは何かありますか?」という質問を、これまで度々受けることがありました。「何かしたい」という皆さんの思いを、アクションにつなげていただけるよう、昨年から映画祭の開催中にフードドライブを開催。今年は3日間で125品の食品が集まりました。今回お寄せいただいた食品は渋谷区社会福祉協議会を通じて、食品を必要とする方や支援団体にお届けします。食品を持ってきてくださった皆さん、そしてボランティアとして運営に関わってくださった皆さん、どうもありがとうございました!
また2日目、3日目は会場で社会(Social)に対して良い(Good)インパクトを与えるソーシャルグッドな商品の販売を行いました。今回はストライドクラブ、ふれんど、国際協力NGO世界の医療団、特定非営利活動法人JIM-NET、そしてユースセンター100日荘の皆さんにご協力いただきました。収益はそれぞれの活動を支える大きな力となります。

~感想~

今年もかわいいスリッパが買えました!来年もスリッパの新デザインを期待しています!

MOVIE & TALK SESSION

WE EXIST 私たちの居場所

TALK SESSION:渋谷区パートナーシップ証明制度開始から10年
GUEST:長谷部健渋谷区長、村木真紀さん、西村宏堂さん、永田龍太郎さん(ナビゲーター)
渋谷区でパートナーシップ証明制度が生まれるまで、そしてこの制度が運用されるようになってから、渋谷区は、そして社会はどのように変わってきたのか、行政、支援団体、そして当事者それぞれの視点から振り返りました。また渋谷区が認定NPO法人虹色ダイバーシティと行ってきたパートナーシップ証明制度の全国調査から、制度がどのように運用されてきたのかご紹介しました。

~感想~

映画に出てくる様々な人の声が、自分と重なって涙が止まりませんでした。アフタートークも渋谷区の取り組みが分かって良かったです。会場にも様々な人が集まっていて、これが渋谷だな!と感じました。

CLOSE クロース

TALK SESSION:かけがえのない命の重さ 子どもたちと共に考えるために
GUEST:副島賢和さん、鈴木茂義さん、アーヤ藍さん(ナビゲーター)
心身共に成長し変化していく中で、他者との違いが気になり、それが攻撃や相手を蔑む行動として出てしまうこともあります。子どもたちが自分の行動の裏にある感情に気づき、その感情に向き合っていくために、大人たちはどんなサポートができるのか、お二人の経験も交えてお話いただきました。

~感想~

レオはこの後、痛みを抱えてどのように生きていくのだろうかと心配になりました。これは映画の中のお話だけれど、現実の世界にもレオのように痛みを抱えている子ども達はきっと沢山いるんだろうな。自分はその子たちの力になってあげることができるのか、考えずにはいられなかったです。

FLEE フリー

TALK SESSION:“周縁化”された人々の声を聴くことは、多様性に満ちた世界を理解すること
GUEST:サヘル・ローズさん、金辰泰さん、アーヤ藍さん(ナビゲーター)
難民となった人々について描いた映画はこれまでにも沢山制作されてきましたが、安全な地にたどり着いた後、どのような生活を送っているのかを描いた作品は多くはありません。そんな中、難民として故郷を離れてから20年後の語りで描かれるこの作品は、難民として新たな土地で暮らす人達の生活を知るきっかけとなります。アフタートークでは、「難民」になることが与える影響の長さや深さについてお話をうかがいました。

~感想~

ニュースや新聞で目にすることはあっても、「難民」とならざるをえなかった人、一人ひとりのことを考えました。

リトル・ガール

TALK SESSION:その議論、その制度、その配慮は誰のためのもの?
GUEST:高井ゆと里さん、若林佑真さん、アーヤ藍さん(ナビゲーター)
トランスジェンダーの方々に対する差別や排除がネット上などで、よく見られるようになりました。一方で、トランスジェンダーの人々の当事者視点の悩みや葛藤などの思いが、社会における”議論“のなかで聴かれることはなかなかありません。当事者が直面している問題の背後にある社会的な問題や、トランスジェンダーの方々の声が排除されている現状についてお話いただきました。

~感想~

当事者ではないから見えなかった世界について、無関心だったということに気が付きました。本人の意思だけではどうにもならない社会構造によって、学びの場や、働く場で存在することすら難しくなるというのは、やっぱりおかしいことだな…。

これからの私たち ALL Shall Be Well

TALK SESSION:制度でなければ変えられないもの、制度だけでは変えられないもの
GUEST:レイ・ヨン監督、中川重徳さん、おおともかぐみこさん、オリビエ・ファーブルさん(ナビゲーター)
「結婚の法的効果」が保障されていない同性カップルが直面する様々な問題を描いたこの作品。同じような経験をした人が身近にいた人、同性婚がないことで大切な人を喪った直後に、更なる悲しみや苦痛を経験しなければならないのかと驚く人など、様々な反応がありました。アフタートークには香港からレイ・ヨン監督も駆けつけてくださり、熱いトークが展開されました。

~感想~

自分も幸せになる権利があるはずなのに、パートナーにもしもの時があった時に、法律は守ってくれないんだと…分かってはいたけれど、映画を観て辛くなりました。明日のことは誰も分からないから、若くても心配ないってことはない。早く日本でも、同性婚が認められますように。